できるまで

石ころアートが出来るまで

まず拾ってきた石に何の動物を描くかを決めます。石を拾った時に最初に浮かんだイメージが大事です。
迷った時は、最初にイメージした動物を描くことをおすすめします。

石の一部分を生かして、動物を描く。

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石をじっくり観察して、どの部分を生かすか(形や表面の色、模様など)を決めます。この石の場合は犬です。最初から、両方の耳と、右の前足、顔が表れています。どこかわかりますか?
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構図がイメージできたら、鉛筆で下描きをします。鼻の輪郭と右前足の指を描き入れました。絵を描くのは石の一部分にします。石の素材をできるだけそのまま生かして、動物に見せる事がポイントです。
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鉛筆の下描きに沿って着色していきます。まず鼻を黒く塗り、目と爪の輪郭を黒で描きます。次に黒く縁取りした輪郭の内側に、白で目と爪を塗ります。
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白目の中に黒目を描きます。最後に黒目の中に白い点を入れて完成です。ちょっとすねたようなワンちゃんの表情もまたいいものです。

石の模様を生かして動物を描く。

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石を観察して、どの部分を生かすかを決めます。この石の場合は模様を生かして犬に仕上げます。
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鉛筆で下描きをします。割れ目の線の部分を、顔と前足の境目にすることで立体感が出ます。
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鼻や口、前足の輪郭を描きます。石の模様をそのまま生かしているので、着色部分は鼻・目・口・前足の爪だけです。
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口を開けている構図なので口はビンクに。白目を塗り、その中に黒目を入れます。最後に黒目の中に小さな白い点を入れてデカ鼻のワンチャンが完成です。

石全体の形を生かして、動物を描く。

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石を観察して、どの部分を生かすかを決めます。この石の場合は全体の丸まった感じを猫の背中に見立てて仕上げてみます。描く前に石の色や表面を観察して、三毛にするのかキジトラにするのかなどを決めておきましょう。
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構図がイメージできたら、鉛筆で下描きをします。石全体を猫の形にしますので、顔の大きさやしっぽの位置がポイントです。
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鉛筆の下描きに沿って黒で輪郭を描きます。次に耳と鼻まわり、しっぽを細い筆で毛を1本1本描いていきます。耳と鼻まわりは白で、しっぽは黒、茶、白の3色の毛を描きます。
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顔全体や前足にも毛を描いていきます。
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白目を塗り、その中に黒目を描きます。最後にその黒目の中に白い点を入れて完成です。ウインクしているところが可愛いでしょ?

石のくぼみや割れを生かして、動物を描く。

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石をよく観察してどの部分を生かすかを決めます。この石の場合は割れ跡を生かして犬に仕上げてみましょう。
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構図が頭の中イメージできたら、鉛筆で下描きをします。割れ跡の部分を顔と前足の境目にすることで少し立体感が出ます。
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口まわり、足先を白で描きます。塗りつぶすのでなく毛足を表現しながら描いていきます。鼻は赤にしました。
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目の回りや耳、前足にさらに毛を足していきます。
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頭の上や背中の毛も少し描いて、最後に白目、黒目、そして黒目の中に白い点を描き入れて完成です。黒目を横にずらして、あえて目線をはずしてみるのもポイントです。

石ころとの出逢い

5歳頃から小学校3年生まで、祖父の実家である愛媛県宇和島に疎開していました。祖父の趣味は「水石」で、一緒に河原へ遊びに行っては祖父と石を拾う内に、子供心に自然と石の中に動物の姿を見てとるようになりました。

※水石… 磨いた自然石を水盤に配置し、水をかけて鑑賞する日本の文化・趣味のひとつ。

石に宿る動物

最初から自分の思惑でこんな石を見つけたいと思っても見つかるものではありません。フィールドワークの中でたまたま形の面白い石に出逢い、そして出逢った時にその石はもう既に動物の姿を宿しています。はりねずみ

構想は数年、制作は数十分

石によっては、何をどう描くかが決まるまで数年かかる事もあります。構図が決まってしまえば描画自体はそれほど時間はかかりません。"石ころアート"はフィールドワークから始まり、描画は最後の仕上げと言えます。

動物になれなかった石

きれいな石なのですが、小さすぎて動物になれなかった石ころ達は、数年前から昆虫にして標本箱に入れて再生しています。一匹ずつそれぞれに楽しい名前をつけています。 昆虫